
『幸福度日本一の静岡県』を目指して
講師 静岡県知事 鈴木 康友 氏
【講演概要】
現在、静岡県は「幸福度日本一の静岡県」を掲げ、人々の内面的な幸福実感を高めていこうという「ウェルビーイング」の概念を県政の中心に据えている。アンケート調査では男女とも幸福実感は全国平均より高い。「自然の恵み」「公共空間」「住宅環境」、そして健康寿命男女とも日本一に象徴される「健康状態」などが高く、「遊び・娯楽」「多様性と寛容性」「移動・交通」「雇用・所得」「事業創造」が低い。これはこれから政策に反映させていく。
県政の基本理念は、LGX:ローカル・ガバメント・トランスフォーメーション。自治体も前例主義や役所の常識に縛られる感覚を変えなくてはいけない。その実践の一つがAIの活用で、私がCAIO(AI統括責任者)に就任。現在7万時間の業務効率化を達成している。
リニア中央新幹線は、前知事の時代から28の課題を整理して取り組み、今年3月に全てクリア。今年7月にJR東海と自然環境保全協定を結び、着工にこぎつけた。リニアは静岡県にメリットが無いと言われるが、大阪、名古屋と東京を一直線で結ぶ役割がリニアに移ったら、県内6駅に停まる東海道新幹線の本数は飛躍的に増加し、経済波及効果は高まるはずだ。
スタートアップ支援については、県認定のベンチャーキャピタルが出資するスタートアップに県が同額の交付金を交付する「静岡県ファンドサポート事業」で、有望なスタートアップを県内に誘致し、支援。また、中小企業経営者が事業を引き継いだ時、新しい事業を作って2つの事業で会社を成長させる「両利きの経営」・第二創業の促進で地域産業を支援。伊豆地域では温泉旅館のオフィス化事業を展開し、スタートアップが集う拠点の創設に取り組んでいる。SHIP(SHIZUOKA INNOVATION PLATFORM)を中心に県内のスタートアップ支援拠点が連携している。
地域未来戦略では、「地域産業クラスター計画」として、世界トップレベルの医療健康産業をはじめ、食品・ウェルネス産業、光・電子技術産業、次世代モビリティ産業、海洋産業、コンテンツ関連産業、エネルギー・循環経済関連産業、ロボット産業の8分野を策定する。光・電子技術では持続可能で安全な次世代エネルギー源として期待・注目されるレーザーフュージョンの研究を推進。また、静岡茶については、輸出需要の高い抹茶向けの品種へ転換を支援。総合プロデューサーに佐藤可士和氏を迎えた「静岡茶ブランディングプロジェクト」によって、「JAPAN TEA SHIZUOKA」のブランドを世界に発信。次世代モビリティについては、静岡県は「空飛ぶクルマ」の先進地域。垂直離着陸する機体の特性に即した新しいルール作りについても次世代エアモビリティ実装協議会を立ち上げた。静岡県は観光資源の宝庫。特に海外富裕層をターゲットとしたゴルフツーリズム、ビジネスジェットの受け入れ機能強化などで観光の基幹産業化を目指す。
遠州灘海浜公園(篠原地区)では、野球場を中心とした一大複合施設の実現をめざして民間投資を探っているところ。文化については、本県発の概念である「超老芸術」の普及・拡大、東部・伊豆に点在するユニークな美術館の活用などをウェルビーイング向上につなげようとしている。
浜松市長時代の経験が今、とても生きている。県を舞台にがんばっていきたい。












『夢とロマンと感動を! 〜世界一の魂の集団を目指して〜』




































































































2026年9月25日(金)21世紀倶楽部月例セミナー
持続可能な企業として存続し続けるために~現場課題を踏まえたdXの取組~
講師 浜松倉庫株式会社 代表取締役社長 中山 彰人 氏
【講演概要】
「dX」のdが小文字なのは、すべきことは「X:変革」で、必要があれば「d:デジタル」を使うという意義付けによる。明治40(1907)年創立、来年120周年。従業員125名。物流事業のほか地ビールレストラン「マインシュロス」も運営。売上は増加中。正社員比率は85%超。男女比率6:4。産休・育休の復帰率100%、男性の育休率100%。過去3年の離職率0%。浜松地域に事業を通じて賑わいをもたらし、地域に貢献することが存在意義。倉庫に「もの」、駐車場に「車」、レストランに「人」、DXで「データ」を集めて地域を元気にする。持続可能な企業を目指すための変革として、「人材確保」「生産性向上」に取り組んでいる。
人材確保では、女性の活躍。物流業界は男性社会という定説を「変革」し、21年前に現場女性従業員の採用を開始。2005年から2026年の女性採用率は7割を超え、リフトオペレーターとしての現場女性採用率は56.2%。平均年齢も34.8歳で、業界の中では10歳以上若い。
生産性向上については、2015年から3年間かけ、お客様も巻き込んで業務を抜本的に「変革」。若手管理職による会社の方向性の検討、調査、問題点の設定に始まり、そこで出た「業務スリム化、営業力強化、品質向上」の課題を掘り下げ、新システムの検討・導入となった。具体的には、全倉庫の無線LAN化と全商品のバーコードによる管理体制の構築。完全なペーパーレスで情報をデータ化し、リアルタイムで情報をお客様も持てる体制を作った。その効果で10人工分の余力を創出したので都田の新倉庫に充当。データ化により様々な分析が可能になり、受け身型ビジネスから提案型ビジネスへと転換した。2022年には国内中小企業初のDX認定を受け、2024年には経済産業省の「DX Selection 2024」のグランプリを受賞。BCPも意識し、都田流通センターではPC・ネットワークを保全。停電しても最低3日間動ける態勢を整えている。さらに、紙とペンによるアナログ対応訓練も実施。サイバー攻撃に対しても対応のBCPを策定している。この20年間、当たり前を疑いながら会社を変革し、レス化を推進。ペーパーレス、FAXレス、固定電話レス。FAXレスにより事務の仕事が分析・提案にチェンジしたことによる事務所レス。新たな荷役機器によるリフトレス化にも取り組んでいる。
そして、業務改革の成果を従業員にしっかり還元し、モチベーションを高めてもらうため、2023年には人事・評価制度を「変革」。賃金を地域製造業と同水準に引き上げ、「子どもは会社で育てる」という方針のもと子育て応援制度を創設。「持続的な好循環」をめざす。今年は市の「はままつ子育て世代活躍企業コンテスト」で大賞を受賞。現場の声も様々に反映し、入社1年目の女性社員のアイデアで「推し活手当」というものも生まれた。
昨年、都田流通センターに環境配慮型GX・DX倉庫が竣工。BCP対応、発電機完備、倉庫内完全空調、お客様のESG経営にも寄与。ZEB認証、「CASBEE静岡」A評価を取得。DXとロボットの協働、無人受付システムによって自動化、効率化を実現。最先端のハード、ソフトを活用して、医療機器、精密機器等の取扱いを開始し、全く新しいビジネスにチャレンジしている。