日時:2013年7月 8日 10:30 投稿者:pt21c

21世紀倶楽部

 

月例セミナーレポート

 


2013年6月27日(木)

「組織における決断と責任」

講師 江上剛(えがみ・ごう)氏 作家

 

6月27日、21世紀倶楽部総会が17階静岡新聞ホールで開かれた。松井純代表があいさつした後、平成24年度事業・会計報告とともに、25年度の事業計画・会計予算が参加者の拍手をもって承認された。総会後は作家の江上剛氏が「組織における決断と責任」と題して講演した。

総会 松井純代表

【講演概要】
日本人経営者の判断として、海外で高く評価されている例を挙げる。パナソニックは、マレーシアに電子工場や販売店を建設し、拡大。その後、景気変動やリーマンショックで、多くの外資系企業が撤退する中、パナソニックだけは業態を工夫しながら、現地に残る決断をした。そして顔が見える販売サービス展開を続け、現地化に成功した。
 イトーヨーカドーは、中国四川に店舗を進出させたとき、「仕入先への月末現金払い」「従業員給料の遅延をしない」「安心・安全な製品を置くこと」を原則とし、地元に定着させた。またトヨタは、1998年タイで業績悪化に苦しんだ際、従業員を解雇することなく危機をしのぎ、「日本人の会社は残ってくれた」と感謝された。こうした例は、単に、自社の利益だけのためではなく、現地の人材を育て、その国の生活向上に尽くしたことへの信頼を得た結果。常に、売り手、買い手、世間の三方良しを大事にする日本企業の決断が見直されたのだ。
 最近の時事問題として、サーベラスの問題も、強欲と無欲の闘いではないかと想像する。西武の業績再建を理由に球団売却や鉄道廃止等を提案したサーベラスだが、合理性だけで判断できない西武は、それを拒んだ。海外から見ると、名誉欲や金銭欲に溺れず、皆が一緒の信念に向かい、判断を下す日本人を「不思議な国民」と思うのかもしれない。しかし、こうした無欲の判断ができる日本の価値は広く見直されている。失敗して例や数字ばかりが氾濫する情報に惑わされ、我が国が衰退していると考える必要はない。
 企業発展のポイントはイノベーション(変革・改革)。富士フィルムは、自社のオリジナル技術に注目したことで、フィルムから化粧品・薬品へと移行した。食品業界では、魚の骨がネックになっていたことから骨無しの魚を開発したり、飽和状態と思われたインスタントラーメン市場に「生麺」という発想が加わり、大きな変革が起きたりした。今ある商品やサービスを、少し変化させるだけで新しい市場が生まれる。私欲を捨てて、お客様(市場)の声を聞き、変化を恐れないこと。こうして進んでいけば、間違いない時代になるのではないだろうか。

講師 江上剛氏

総会記念講演会

懇親会の様子

 

7月例会は 恒例の「納涼祭」を開催いたします。

皆様お誘い合わせの上、多数ご参加くださいますようお願い申し上げます。

日時 7月19日(金)   プレスタワー 17階 静岡新聞ホール

  18:00開場  18:30より例会  閉会20:30 予定


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