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イベント関連:月例セミナー

日時:2023年8月31日 14:28 投稿者:pt21c

持続可能な社会を次世代へ
~やさいバス株式会社の挑戦~
講師 やさいバス株式会社
代表取締役社長 加藤百合子 氏
【講演概要】
産業機械やロボットの研究開発の業界にいた私(千葉県出身)が
静岡に来て20年以上、㈱エムスクエア・ラボを立ち上げて14年に
なる。環境問題や食糧不足という大問題を目の前にしているが、
解決しない課題は無いと考えている。自給率向上に向けた本気の
取り組みが少しずつ動き始めている今、農業の魅力を「農業×
ANY=HAPPY」という方程式で表現し、さまざまな事業(生産法人、
流通、農業ロボット・システム研究開発、人材育成等)を行って
いる。
作物生産者と使う人を繋げる仕組みを作ったのが約10年前。商
品価値を伝えることでお互いの利益は見えたが、物流費が課題だ
った。そこで「やさいバス」の物流サービスを構築した。生産者
はネット注文に応じて拠点(集配場所)へ出荷。各拠点を経由し、
野菜が乗ったり降りたりして共同配送するシステムだ。コロナ禍
の影響で大打撃を受けたが、反対に各地で地産地消を考える意識
が高まり、小売業とのネットワークも拡大。全国で地域循環の意
識が湧き上がっている。
人同士の信頼がベースとなっているため、集配場所ではそれぞ
れ個性的なコミュニティが誕生しているところも多い。また、実
際のバス会社がやさいバス業務を連携する地域や、走行距離から
CO2排出量削減をアピールする企業もある。社会は確実に持続可
能な分散型の循環社会へと向かっていることを実感している。
農業の人手不足については、自動走行や遠隔操作により防除・
除草・運搬などができるモビリティを企業とタッグを組み開発
中。こうした研究開発にはモノづくり企業の多い浜松が今後、
大きな力を発揮できると期待している。
人材育成では農業経営を通じて子供たちに生き抜く力を育んで
ほしいと「ジュニアビレッジ」を実施。地域の小中学生が栽培し
た作物を商品にして販売。会計集計しお世話になった方へ御礼す
るまでを体験するプログラムで、子供と大人が成長し合える機会
となっている。
人材成長の方程式は「情報×論理的思考力×素直さ」。素直さ
がなければ成長はない。さらに新規事業を打ち立てたとき「表現
力」は確実に事業を無限大にしていくことができる。日本は品質
の高いモノづくり力は素晴らしいが、それをさらに活かす表現力
を伸ばすことが必要だろう。
新たなチャレンジには勇気がいるが、動き出せば共感する仲間
たちが次第に集まってくる。現在の若者は、給与より「自分の思
いを地球や社会に果たすことができるか」に重きを置く。地方に
は自然資源や人間共助の仕組みが豊富にあるので、これらを活か
し「明るい未来を皆で創ろう」と若者たちに示すことができるは
ず。21世紀倶楽部の企業がタッグを組み、新プロジェクトを立ち
上げてみるのも面白いのではないだろうか。


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