【講演概要】「 政治主導」を高らかに掲げていた民主党だが、少しずつ「脱官僚」から後退してしまった。政治は、官僚をいかに動かすかが重要なのに、民主党は自民党と一体化している官僚ともども排除することを考えたのが問題だった。しかも、民主党の総理や大臣は、個々に官邸や各省に入ったため、官僚を仕切ることができない上に、支えてくれる有力なスタッフがいない。官僚と戦った経験がない者が、信頼できる側近を持たずに政治主導ができるはずがない。さらに最大の問題は、やりたいことが見えないことだ。 こうした中で、野田政権が現在目指そうとしているのが、増税。医療、介護、年金を増税理由に掲げているが、借金を減らす対策は何一つ語られていない。日本が破綻しないための経済試算は、消費税を30~35%くらいにすべきと示されているが、実際に消費税を上げても、借金は増え続け、さらに消費が縮小するマイナスのスパイラルに陥る。これではギリシャと同じ破綻の道を追うことになるだろう。最大の問題は、借金を返す力が減っていること。この状況を打開するには、増税で備えることではなく、稼ぐ力をつけることである。成長戦略には、農林業、医療、再生可能エネルギー分野の将来性がうたわれている。しかし、日本は資本主義でありながら、各分野に活動できる組織が決定され、それ以外の企業等が自由に活動できないのが問題。こうした状況を全て打開し、大きな資本が入る仕組みにしなければ、改革は進められない。自由にフィールドを広げ、優秀な人材が活躍し、利益を上げ、税金を払ってもらうこと。そのためには、ばらまき対策を止め、稼ぐことができる政治家を、私達自身がつくっていかなくてはならない。
21世紀倶楽部 特別講演会
2011年11月28日(月)
21世紀倶楽部特別講演会
「野田政権の改革なき増税路線はギリシャへの道」
講師 古賀茂明(こが・しげあき) 氏
元経済産業省 官僚
【講演概要】
「 政治主導」を高らかに掲げていた民主党だが、少しずつ「脱官僚」から後退して
しまった。政治は、官僚をいかに動かすかが重要なのに、民主党は自民党と一体化している官僚ともども排除することを考えたのが問題だった。しかも、民主党の総理や大臣は、個々に官邸や各省に入ったため、官僚を仕切ることができない上に、支えてくれる有力なスタッフがいない。官僚と戦った経験がない者が、信頼できる側近を持たずに政治主導ができるはずがない。さらに最大の問題は、やりたいことが見えないことだ。
こうした中で、野田政権が現在目指そうとしているのが、増税。医療、介護、年金を増税理由に掲げているが、借金を減らす対策は何一つ語られていない。日本が破綻しないための経済試算は、消費税を30~35%くらいにすべきと示されているが、実際に消費税を上げても、借金は増え続け、さらに消費が縮小するマイナスのスパイラルに陥る。これではギリシャと同じ破綻の道を追うことになるだろう。最大の問題は、借金を返す力が減っていること。この状況を打開するには、増税で備えることではなく、稼ぐ力をつけることである。
成長戦略には、農林業、医療、再生可能エネルギー分野の将来性がうたわれている。しかし、日本は資本主義でありながら、各分野に活動できる組織が決定され、それ以外の企業等が自由に活動できないのが問題。こうした状況を全て打開し、大きな資本が入る仕組みにしなければ、改革は進められない。自由にフィールドを広げ、優秀な人材が活躍し、利益を上げ、税金を払ってもらうこと。そのためには、ばらまき対策を止め、稼ぐことができる政治家を、私達自身がつくっていかなくてはならない。