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イベント関連:月例セミナー

日時:2024年2月 6日 10:58 投稿者:pt21c

最近の金融経済の動向
講師 日本銀行静岡支店長 水野 裕央 氏
【講演概要】
 静岡県経済の現状をみてみよう。コロナ禍後、催しなどが盛況で
外出も増加したことで、それに伴う個人消費に反映されている。自
動車販売も半導体調達改善から回復傾向だが、年末に発覚した不正
問題を考慮し今後は慎重に見る必要がある。観光分野も回復はして
いるがインバウンドの恩恵は全国ほど受けていないことが課題。人
手不足により客室制限するなど、需要の取りこぼしがあるとみられ
る。企業の設備投資はカーボンニュートラルへの事業拡大などが前
向きで、製造業を中心に増加傾向にある。
 企業の生産活動を見ると物価高による消費者の節約志向や、人手
不足の影響はあるもののEV化や医療向けが顕著に推移。加えて自
動車部品の持ち直しから全体的に幾分回復とみている。しかし企業
の人手不足感が強まっていることや、仕入れ価格の上昇分を販売へ
と価格転嫁できず収益の圧迫要素になっている実態が見えてくる。
 こうした中、静岡県経済の課題をいかに解決するか。ここ数年、
感染症や世界各国の覇権争い、ロシアのウクライナ侵攻などの影響
から、誰もが地域経済を巡る環境変化をスピードアップさせる重要
性を強く感じたと思う。デジタル化や働き方の急速な変化を経験し、
インバウンド依存のリスクを理解したことから、独自の高付加価値
化やEコマースへの転換が進んだ。日本経済の主力である自動車産
業でさえも変革を余儀なくされている状況にある今、構造的課題へ
の挑戦が最も重要になっている。
 人手不足解決のためには、外国人労働者との共生社会を目指すの
もひとつ。それには日本の魅力を活かし、日本語教育施設を確保す
るなど環境整備も必要だろう。またM&Aによる人材確保やシステ
ムエンジニアなどの専門家を副業人材として活用することも考えら
れる。
 バブル崩壊以来続いている低賃金構造の変革には、いかに労働生
産性を高めるかがポイント。当地では宇宙や量子分野、デジタル分
野の開拓が目覚ましい。脱炭素化の流れから再生可能エネルギーも
活発化、感染症の影響から農業観光やオンライン販売なども進んだ。
最近ではレストランでの配膳ロボットなども見られるようになり自
動化省力化への投資も見られる。市場・販路拡大においては、イン
ドやインドネシアなど今後の拡大市場を見据え、農産物など海外市
場への強化も考えられる。
 雇用に関しては従業員が会社を選ぶ時代となり、必要な人材を確
保できないことが経営リスクと認識されるようになった。人材への
投資と稼ぐ力向上の経営戦略は不可欠。新たなテクノロジーで新市
場を開拓するスタートアップによって積極的な経済になることを期
待している。もちろん構造的課題解決のためには「産・官・学・金」
が一体となることが重要。これまで以上に各機関が問題解決に注力
し大切な人材を育てていく必要がある。
 また持続的な日本経済の持続を実現するには家計も重要。株式や
投信に関する無料の動画講座などもあるのでお金の知恵を学び活か
してほしい。


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