日時:2019年3月25日 09:59 投稿者:pt21c

講師:トップリーグヤマハ発動機ジュビロ前監督 清宮克幸氏
演題:「勝つためのチームマネジメント」

【講演概要】 私が監督時代に大切にしていた言葉は「使命感(ノブレス・オブリージュ)」
と「独自性」。そ のエピソードをお話する。 2003年イラクで日本人外交官が何者かに
射殺され殉職した。その外交官は私が兄貴と慕って いた奥克彦先輩だ。私の九歳年上だが、
早稲田のラグビー部に所属していたことがあり、私が 2001年早大ラグビー部の監督に
なった際に意気投合し、さまざまなことをレクチャーしてくれ た人である。
当時奥先輩が赴任するイラクはテロが多く危険視されていた。しかし先輩は
「外 交官として生き、イラクとイラクの子供たちのためそして何より日本の
ためになる今の仕事を 置いてどうして帰れようか。まだハーフタイムだ。
ノーサイドの笛が鳴るまでここで頑張り続 ける」と知人にメッセージを
送っていた。弔いの場でそれを知った私たちは「まさにノブレス・ オブリージュだ」
と実感。奥先輩の言葉は私にとって大切な言葉となった。そして哀しみで停
滞していた我々のエネルギーを前進させ、奥先輩の遺志を継ぎイラクの子供たちへの
教育支援 基金を立ち上げることに繋がった。さらにその後のスポーツ普及を
目的とした「ワセダクラブ」 もトップチームが果たすべき責務との想いで立ち上げた。
また、使命感を持つ選手を育て上げるために私が用いた手法が「独自性」だ。
最初は我流で 良い。人がやらないことをやり続けると、それがいずれ本流になる。
それを経験し、やり遂げ たときに芽生える絆、責任感を持った者が多ければ
多いほどチームは強くなると考えている。 ヤマハ発動機ジュビロは2009年の
リストラ後は非常に厳しい状態だった。しかしそんな中で もトップリーグで
今までにないエネルギーに満ちた試合を繰り広げた選手の姿を見て、
私は「ジ ュビロしかやらないラグビーを創り上げる」と宣言した。
レスリングを本気で学び、科学的に スクラムを研究しているフランスに渡り、
ジュビロオリジナルの形を創り上げ、日本一を達成 することができた。
特に感動したのは、ジュビロのスクラムが日本代表チームで採用される
ことになったのだ。まさに自分たちの独自性を活かしてやっていたものが
スタンダードになった 瞬間だ。これぞ独自性が組織にもたらしたパワーだと言える。
現在、私にとっての「ノブレス・オブリージュ」は、総合型スポーツクラブ
「一般社団法人 アザレア・スポーツクラブ」で地域に貢献することだ。
女性と子供を二本柱にしているが、将 来的には地域の高齢者たちも視野に
入れていきたい。そして今後さまざまなスポーツを組織化 し、
それによって地域が恩恵を受けて楽しく豊かな人生になればと考えている。
ともあれまずは2020年ワールドカップのポスター貼付を!日本代表が
キャンプを張る貴重な 地域として街も賑わうはず。乞うご期待。


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