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日時:2012年8月30日 13:12 投稿者:pt21c

2012年8月21日(火)

21世紀倶楽部特別講演会

大相撲 今と昔~相撲道に精進する力士たち~

芝田山親方(元横綱・大乃国)

 

【講演概要】
私が初土俵を踏んだ昭和53年当時は相撲ブームで、多くの入門者がいた。しかし最近は、入門希望者が減り、体格検査を低い基準にして間口を広げているのが実情。現在自分の芝田山部屋では5人の弟子を育成している。
自分が内弟子として入門した当時の部屋は、30~40人が所属する名門で、自分より体が大きな人ばかり。「大変なところに来てしまった」と思ったが、逃げることもできず、自分で自分の力を試してみようと腹を決めた。何のスポーツも基本が第一。四股(しこ)を1時間踏み続けるのは当たり前で、足元に汗の水たまりができたほど。そのあとすり足やぶつかり稽古が続いた。着物の畳み方、ロープの縛り方、食事でのマナーなどは各部屋の兄弟子が教えてくれできなければ箒(ほうき)でピシャッと叩かれた。現在では、いじめと問題になるかもしれないが、当時の自分たちは修行だと思い、そのお蔭で叩かれないように必死に勉強する気持が養われたと思う。稽古は「これで十分」ということはない。明日はどうやって休もうかと考えるほど苛酷な稽古だったが、それに耐えたおかげで、自分は1年目で十両に上がることができた。
横綱になってからもあえて辛いノルマを自分に与え、スタミナをつけることに励んだ。それほど稽古をしても、私の幕の内優勝はたったの2回。それほど厳しい世界といえる。
最近「日本人横綱が出ない」と指摘される。今の日本では何不自由ない生活の中で、我慢したり、人と競ったりすることが少ない。日本語を覚える外国人は、理解しようという気持ちが強い分、出世も早い。ハングリー精神の差が表れているのかもしれない。
地方巡業も大きく変化した。以前は、稽古の後、自分たちで食事を準備するため食器を持ち歩き、近所のお宅の水道を借りるなど人々との触れ合いも多かった。私にとって巡業は、普段稽古をしない人と稽古ができることが何よりの楽しみだった。「楽しくやる稽古は自分に対して返ってくるものが大きい」と弟子たちにも話をしている。
10月に開催される浜松出世場所では、巡業ならではの見どころである、稽古や初切(しょっきり=禁じ手を面白おかしく紹介)、また、相撲甚句や呼び出しが叩く太鼓の音にも耳を傾けてほしい。お相撲さんを間近に観られるのは巡業ならではの醍醐味。関取だけでなく、これから出世しそうな若手を見出して、応援して頂けたらとても嬉しい。

芝田山親方

8月21日 特別講演会の様子

和やかな懇親会

 


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