日時:2020年10月 9日 10:00 投稿者:pt21c

講師:浜松医療センター院長補佐兼感染症内科部長 矢野邦夫医師
演題:「新型コロナウイルス最新情報と感染予防」
【講演概要】
 今日特にお伝えしたいのは、新型コロナウイルスは「皆さんが思っているほど感染力は強くない」「結核や麻疹のように空気感染はしない」という2点。ウイルスにとって空気中は過酷な環境なのでその多くが死滅する。一部生き延びたウイルスが口や鼻に入ったとしても粘液と共に流される。さらに組織に到達したとしても免疫細胞が待ち構えている。今や感染症指定病院のほとんどは空気感染しないことを念頭にした対応をしている。もはや不必要な感染対策は止め、その分の資金とマンパワーを新しい対策に向けていくよう見直しが必要な時期になってきたと考えている。
 新型コロナウイルスに感染した場合の症状は発熱、咳、息切れの症状が多いが、風邪やインフルエンザに似ている症状なので判断するのは難しい。8割の感染者は約1週間で改善するが、高齢者や基礎疾患のある人、喫煙者や妊婦は重症化しやすいので注意。また回復した後も咳や倦怠感がしばらく続く人もいる。インフルエンザに比べて潜伏期間が長く発病1日前にウイルス排出のピークがあり、感染者の数%~60%が無症状なのが特徴だ。そのためすべての人がマスクを着用する「ユニバーサル・マスキング」が有効となる。5歳以下の幼児、意識不明の人、筋力の無い人、補助無しでマスクを外せない人以外は常時かつ正確にマスクを着用しよう。さらに最大限に効果を出すためにはマスク+アルコール手指消毒がおすすめ。消毒薬は吸い込むことによる害を考え噴霧してはいけない。
 クラスター発生の事例を分析すると近い距離で歌ったり大声で話したりするのは危険。キャンプ場など屋外は密閉でないと油断しがちだが近距離は注意が必要だ。いつどこでも無症状の感染者が紛れているかもしれないので密閉・密集・密接の三密を避けよう。
 最後に感染対策の間違いを紹介する。アルコールと間違いメタノールを使用し死亡や失明した例が米国で起こっているので要注意。また濡れた手こそウイルスが付着しやすいので、トイレ等はペーパータオルや手指乾燥機の使用をおすすめしたい。そのほか店舗などでビニールカーテンの使用を見かけるが、毎日拭いたり取り換えたりが重要だ(矢野邦夫著書『うっかりやりがちな新型コロナ感染対策の間違い15』)。

【参考】濃厚接触者の定義は「感染者から1m未満にいた」「感染者も自分もマスクをしていなかった」「15分以上一緒にいた」の3条件が当てはまる事。
PCR検査で陽性が出たとしてもウイルスが現時点で体内に存在する確証にはならない。


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