日時:2013年8月29日 13:52 投稿者:pt21c

21世紀倶楽部
月例セミナーレポート

2013年8月21日(水) 21世紀倶楽部月例セミナー

全柔連の不祥事と男のムラ社会
ーリスクマネジメントのあり方ー

講師 溝口紀子氏
バルセロナ五輪柔道女子銀メダリスト、静岡文化芸術大学准教授、県教育委員

講師:溝口紀子氏

【講演概要】
 全日本柔道連盟(以下全柔連)は、体罰事件、公金不正、パワハラやセクハラ等、一連の不祥事が相次いだ。これは、男のムラ社会のような体質が、原因の根底にあったと思う。
組織に女性理事は存在せず、高段位の実力者が男性管理者・監督となり、権力が重んじられている。内部批判は許されず、内部の問題を外部に漏らそうものなら、それは報復となって返ってくる。こうした中、選手が告発するということは、決死の覚悟だった。ならば、私は、選手OGとして、告発した者を後押ししなければ、選手が潰されてしまう、という思いで告発側にたち発言した。
 今回の全柔連の事件を機に、スポーツ界全体が、体罰について考え直すきっかけになったと思う。アンケートを行ってみると、一般的に体罰が容認されてきたことを思い知らされた。特に日本では、徒弟制度を重んじ、指導を受ける側やその保護者たちが、根性精神論とも言えるスパルタを、認めている割合が多いことも根深い。「相手を思っての叱咤激励は体罰ではない」とする声もあり、非常に難しい問題といえる。しかし、スポーツの本来のあり方とは、決して暴力ではなく、ルールを重んじ、言葉のコミュニケーションで指導していくべきだ。
 この度、全柔連は、村上春樹旧会長ら23人の理事が辞任し、宗岡正二・新日鉄住金会長兼最高経営責任者が新会長に就任し、組織改革に向けた新体制がスタートした。スポーツの文明化は、実証できる科学や知識を通して、言葉化し、コミュニケーションによって「強育」「競育」「共育」を進めていくことが大切だと思う。そして、もし内部不祥事が起きてしまった場合の解決策は、隠蔽せずに、一刻も早く自ら公表し、改革に向かうこと。
 不祥事が起きたときが、変化のチャンス。組織の中では、時に勇気を持って声を上げなくてはいけないこともある。不正に対して、自分が勇気を持って立ち向かうことができるか。今回の件で、自分自身も、大変多くのことを勉強させてもらった。

懇親会の様子

溝口氏全体.jpg 

 


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