日時:2024年5月 2日 16:50 投稿者:pt21c

感動をお渡しするために
講師 浜松市花みどり振興財団理事長 塚本こなみ氏
【講演概要】
 樹木医になって2年目に、あしかがフラワーパークのフジの移植を依
頼されたことから園長となり、21年間浜松から足利に通って園づくりを
した。今は世界一のフジの公園として輝く同園で学んだことを、はまま
つフラワーパークに生かしている。お客様が心から「すごい!」と感じ
ていただける園づくりをすれば経営は成り立つ。テレビ番組で話したこ
とから「感動分岐点を超える園づくり・塚本こなみ」などと大げさに出
たが、それは今も変わらない。「この場にいることが幸せ!」と思って
いただける園を作ろうと、理事長就任時に改めて決意した。
 美しさが商品ならば、それに合わせた料金設定が必要。年間一律の料
金を花の咲く時期によって無料から1000円までの変動制にした。そして
「日本一美しい桜とチューリップの庭園」というキャッチコピーを設定。
2年目からは「日本一」を「世界一」にした。桜だけ、チューリップだ
けでは一番と言えないが、日本庭園にチューリップを植えるという発想
はそれまで無かった。今までの常識を取り払ってチャレンジすることが
大事。華やかさに欠ける梅園にはラッパスイセンをプラス。桜とチュー
リップを引き立てるために、3月に芝生が緑になるように秋にまいて発芽
させる。「ここまでやるか」ということをやる。浜名湖花博2014の時、園
芸家の吉谷桂子先生をお招きしてスマイルガーデンという花壇を作った。
温室花壇のデザインも依頼。自分の不得意分野はトッププロに頼むべき。
バラ園も育種家の河合伸志先生にお願いした。自分の専門はフジ。藤棚
の無かったはままつフラワーパークに11年前から一気に藤棚を作り、庭
木仕立て、パラソル仕立て、3色のフジのトンネル。池の上には白フジの
散策路。フジ以外の花々も配し、写真を撮れば1枚の絵画になるような演
出をしている。花菖蒲園は手間がかかり日本では減少傾向だが、周りに
ビルなどが無くて花菖蒲を楽しめる場所は少ないので維持したい。
 2020年に50周年を迎え、今後はガーデンミュージアムをめざしたい。
イギリスの陶芸家ジム・キーリング氏の大自然を表現した作品を池の中
へ設置。1年間の予定だったが、ここが最適と思い、交渉して個人で購入。
将来的には園のものになる。モザイカルチャーも一新した。
 園内のアップダウンの大きさを、友人の車いすを押して案内した際に痛
感。近隣の学校に「車いす押し隊ボランティア」を募り、市へはエレベー
ター設置をお願いした。やっと実現後は反対側にも設置を頼み、ついにモ
ノレール式昇降機を実現。夢は、できるまでやれば叶う!最もやりたかっ
た不登校の子どもたちのための適応指導教室も、頼まれもしないのに空き
部屋を整備して、教育委員会に5年間かけあって開設。「花育」を通して、
子どもたちの顔がどんどん変わっていく。全国の国公立植物園で、このよ
うな活動をぜひ広めてほしい。
 国土交通省のガーデンツーリズム認定制度に立候補。浜名湖ガーデンパ
ーク、龍潭寺、浜松城公園などもメンバーの「アメイジングガーデン浜名
湖」として、初年度から登録された。
 「未来へ開く 花景色」をテーマに、浜名湖花博2024を6月16日まで開催中。
大噴水ショーや特設シアターなど、いつもと違う感動がいっぱいの内容。
ぜひ、お越しください。


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