日時:2019年5月27日 16:42 投稿者:pt21c

講師:静岡産業大学経営学部
 学部長 教授  丹羽 由一 氏
演題:『カイジ』に学ぶ行動経済学 」

【講演概要】
行動経済学は、2017 年にアメリカの経済学者リチャード・セイラーが
ノーベル経済学賞を受賞したことで脚光を浴びた。
経済学が理系の学問と言われ、コンピュータが得意とする
理論的・合理 的 であるのに対し、行動経済学は、
人間の感情に基づく不合理な行動を研究する 学問ともいえる。
今日は『カイジ』 福本伸行による漫画シリーズのストーリー
を追いながら、 行動経済学を紐解いてゆく。
【限定商品のワナ】
「ギャンブル船に乗ることができる席はあと僅か」とカイジを煽る遠藤。
さらに「もう埋まった」の言葉に 、悩んでいたカイジは焦って
「乗せてくれ」と頼む。
/人間は限定という言葉に弱い。例えばちょうど10個の品が
並ぶスペースのショーケースに品物を置く場合、
10個きっちり並べたりそれ以上を山積みしたりするより2、3個並べる。
すると人は「もう残り少ない」と感じて買いたくなる。
【合理性偏重のワナ】
グー・チョキー・パーを各4枚、計 12 枚を持ってスタート
するじゃんけんゲーム、使ったカードは回収されていく。
チョキのカード4枚が残ってしまったカイジは、
グー・チョキ・パーのカードを常に同配分に持つような几帳面な
人を探し出して勝負に挑んだ 。
/ 真面目な人は他の人も自分と同じだと考える心理を突いた 。
他にも
【アンカリングのワナ】【囚人のパラドックスのワナ】【保有効果のワナ】
【デフォルトバイアスのワナ】【松竹梅のワナ】 などを紹介した。
人間は実に弱い。損をしたショックは得をしたときの2.5倍強く
感じると言われる。
そして自分が選んだものを間違えたときの後悔を恐れ、
人は選ぶことを嫌う傾向がある。
一般的に選択肢が多い方 が良いとされるが、実はあまり考えずに
選択できるほうが心地よく思っている 。
『カイジから経済を学べ』では、30もの行動経済学の例が紹介
されているので、興味のある方は是非ご購読を。


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