日時:2019年3月 6日 15:47 投稿者:pt21c

講師:日本銀行静岡支店長竹内淳氏
演題:「変貌する静岡:現状・課題・未来」

【講演概要】
IMFは世界経済の見通しを「緩やかな景気拡大の持続」と予測し、
日本でも政府が「景気回復が戦後最長を更新した可能性が高い」と発表した。
貿易摩擦や中国経済の不均衡、新興国経済の減速や消費増税等のリスクが
高まっている点は事実だが、2012年以降の経済拡大は大企業だけでなく
中小企業も恩恵を受けている。しかも製造業と非製造業がバランス良く
景気拡大の影響を受け、それが地方にも波及しているのが特徴となっている。
輸出についてもいざなみ景気(2002年2月~2007年10月)当時はモノの輸出ばかりが
目立ったが、今回はサービスの輸出増が経済の強みになっている。
静岡県内も景気は緩やかに拡大し、設備投資や公共投資が増加傾向にある。確かに製
造業の比重が高い産業構造を持つ静岡県は、鉱工業生産の回復テンポが全国平均を
下回り、海外での現地生産が増えている為輸出が減っている。それでも企業収益は
過去最高水準を維持しているのは、生産量が減少しても、一つひとつの生産品目の
付加価値が上がっているからだ。
このように景気は良いが、これまでの景気拡大局面と比較すると個人消費が実に弱い。
若者層の所得はそれなりに増えているにも関わらず消費に回らないのは、共稼ぎが
増えたライフスタイルの変化と共に、税金などの社会保障負担が増している為で
あると考えられる。
次に、静岡県の人口減少の傾向を見てみよう。県外への人口移動による社会減が
先行し、それに伴い自然減が加速している。特に県内は若い女性の流出が最大の
問題であり、女性が活躍できる環境を整え、人口減少を食い止めることが急務である。
平均賃金を全国で比べると、静岡県は男性11位だが女性は23位となっており、
男女の賃金格差が全国で二番目に大きい。女性正規雇用が重要視されるサービス産業が
未発達なことも要因といえるかもしれない。
コンパクトな町でも人口集積によってサービス業が発展すれば女性雇用が生まれる。
それにより移住者が増えれば人口減少を防ぐことができる。もちろん人口増加には
出生率を上げることが根本となるが、実は有配偶出生率は40年前からほとんど
変化していない。当時と大きく違うのは未婚率の大幅な上昇だ。経済不安が
婚姻・出産に大きな影響が出ることを踏まえ、正規の職を生み出す対策が重要だろう。
人口政策は結果が出るまでに時間がかかり、判断要因も難しい。しかし日本の
現状を考えると、打てる手は全て打っていくことが重要だ。


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