演題:『ジェトロ浜松の活動について』
講師:ジェトロ浜松貿易情報センター 志牟田 剛所長
【講演概要】
1958年に設立された独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)は日本企業と世界を
つなぐのが仕事である。重点事業は①外国企業を日本に「つなぐ」
②日本の農林水産物を世界に「つなぐ」③日本企業を世界に「つなぐ」
④調査・研究成果や知見を、企業・政府・世界に「つなぐ」の4柱。
海外事務所は54か国74事務所あり、職員約1800名のうち半数近くが海外で働くなど、
世界ネットワークが充実している。2014年に設立された浜松事務所が管轄する
県西部には、輸送機器・光電子・楽器・農林水産食品・遠州織物などの産業が多く、
活力を感じる。インバウンドでの観光をはじめ、今後、ラグビーワールドカップや
オリンピック・パラリンピックの開催もあり、ビジネスチャンスは
ますます増えていくだろう。海外展開に向けてグローバル人材を育成したり、
企業商品の輸出を考えたり、外資系への拡大に取り組んだり、
地域企業のニーズに合わせて実践的に役立っていきたいと考えている。
海外展開の際には現地の最新情報収集などの初期段階から海外展開の実現、
そして拡大政策まで一貫してサポートし、業種を問わず、国や地域別に具体的な
貿易実務などもフォローしている。中でも浜松事務所にはインドデスクが設けられ、
現地5か所の情報拠点と共にインドビジネスを支援。最近のビジネス動向や
輸出状況の情報発信や貿易投資相談も多い。また各種セミナー開催や、
海外での展示会・商談会に向けたジャパンパビリオンの設置も好評である。
セミナー・イベント等の情報は無料のメールマガジンを配信しているので
興味のある方はぜひ利用してほしい。最後に私が4年半駐在したポーランド
についてお話しする。2004年にEU加盟後、堅調に経済成長し
ビジネス環境が整っている。EU内でも比較的人件費が安く、
自動車や航空などの産業クラスターが集積し、消費市場としての魅力もあり、
近年日本企業のプロジェクトが活発化している。
こうした経験等を含め、ジェトロ内にはさまざまな経歴の
スタッフがおり対応させて頂く。浜松で精一杯取り組んでいくので
どうぞお気軽にお声掛け下さい。
2018年5月22日(火)21世紀倶楽部月例セミナー
演題:『賀茂真淵今、国学とは』
講師:賀茂真淵翁遺徳顕彰会会長 山下 智之氏
【講演概要】
万葉集を愛した国学者賀茂真淵(1697年誕生)は菅原道真と同様、学問の神様であり浜松
にとって偉大な人である。旧浜松市歌をはじめ、浜松一中(現県立浜松北高)、
浜松商業高校など多くの校歌に真淵のことが歌われていることからも、
立派な人物であることが郷土に知れ渡っていたことが分かる。
真淵は国学者荷田春満に師事し、春満の後任に抜擢され江戸に向かった。
春満は享保の改革の八代将軍徳川吉宗の御用学者であり、真淵は吉宗の
次男・田安宗武を教授し、その息子が寛政の改革の松平定信である。
さらに天保の改革の水野忠邦は浜松の縣居神社の前身「縣居霊社」に揮ごうするなど、
江戸の3つの改革はどれも根底に国学の精神が流れている。
戦国時代から幕末にかけては海外の文化が日本に押し寄せた。ペリー来航当時、
高杉晋作14歳、坂本龍馬18歳、吉田松陰24歳、西郷隆盛26歳、勝海舟30歳の若者たちが
日本の事を真剣に思い、個々に考えを出した若き先人たちが国を造りあげてきたことを
覚えていてほしい。そして、日本は外国の文化伝来で発展したことは確かだが、
鉄砲が伝来した際には、それを真似て自ら造り上げる能力を既に持っていた。
さらに古くは、中国の漢字には無い国字も独自に生み出してきた。
現在も日本には、「ミノルタ/実る田んぼ」や
「花王の月マーク/いつでも変化できる月の満ち欠け」など、
国学の精神を象徴している企業も多い。こうした根底に流れる国学こそが、
「ものづくり日本」「ものづくり浜松」となった大きな要因だと思う。
これからますます国際化社会が進む中、私たちは真の日本人でなくてはならない。
それにはまず日本史と国語を学ぼう。英語が話すことができても古文書を
読むことができないのは悲しいことだと思う。「頭を雲の上に出し...」で知られる
童謡「ふじの山」は賀茂真淵が詠んだ「駿河なる富士の高嶺はいかづちの音する
雲の上にこそ見れ」という歌を元に作られている。私たちは知らず知らずに国学を
身に付けていながら知らないことが多い。「明き(明朗)」「浄き(清廉)」
「直き(素直)」という「誠」の心を神髄とする国学をしっかりと学び、
我が浜松も地域性を活かしてがんばる街でありたいものである。
ノーベル物理学賞受賞の天野浩教授、文化勲章を受章した静岡文化芸術大学理事長の
有馬明人教授等、賀茂真淵を祀る縣居神社を参拝した人は、大成すると言われている。
ぜひ多くの方に参拝して頂きたい。