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イベント関連:月例セミナー

日時:2022年12月 1日 16:03 投稿者:pt21c

デザインが経営にもたらすもの
~デザインマネジメントと Z 世代の志向について~
講師 静岡文化芸術大学准教授 中川 晃 氏
【講演概要】
 経営とデザインは非常に親和性が高く良きパートナーといえる。国内
でデザインというと「ビジュアルとして見えるもの」と捉えられがちだ
が、アメリカでは設計プロセスの意味合いが大きく含まれている。デザ
イン重視に投資した企業は4倍の利益を得たとの数値が発表され、デザ
イン賞に登場する企業は10年間に株価が2倍に成長したという事実もある。
こうして成功した企業のポイントは優秀なクリエイティブディレクター
が存在すること。デザイナーは日常において観察力に優れ、ユーザーの
ニーズを発見し、言葉にならないイメージを形にする力を持っている。
 例えば「ユニクロ」は、クリエイティブディレクターと社長が15年間
毎週30分雑談する中から「究極の普段着」というライフウェアのコンセ
プトにたどり着き急成長した。
 「マツダ」は2009年以降デザインスタイルが一新。これは当時のトッ
プがデザイン部にブランディングを任せたことが大きかった。「チータ
ーのようにしなやかな生命力」を取り込んだ「魂動デザイン」の誕生で
一気にファンを魅了した。
 環境に配慮したオリジナルデザインを安く提供するコンセプトを掲げ
た「無印良品」は、経営直下にデザイナー集団を置いたのがすでに20年
前のこと。創造力のある人を身近に置くことで一般の人に見えていない
ことにいち早くたどり着き、それがデザインマネジメントの極意となる。
これら3社の成功から分かるのは、優れた経営者と優れたデザイナーの
両輪、二人三脚が大事ということだ。
 次にZ世代の特徴を紹介する。①「仲間内で承認を得たい」/上司の
言葉より仲間からの言葉を大事にする。②「アイデンティティが強い」
/自ら語らず、また複数持っているため分かりにくいが、自分を持って
いる。③「収入やステータスより共感が大事」/心をくすぐられるか、
社会のためになるかなどがポイント。④「自己実現欲が強い」/やりた
いことを実現させたい。⑤「所属欲求」/仲間外れを最も恐れる。居心
地の良いSNSを複数持ち、それぞれに使い分けている。
 SNSの影響は特に大きく、Z世代は幼いころから自分の好きなものを
自分で探し、各自が明確に持っている。そして自分の意見を認めてく
れる人に共感する。明らかに前世代の人と価値観が異なるため、従来
型を押し付けるよりZ世代の物差しに合わせるほうが解決は早い。 独
自の感性としてつかみファンにさせることがZ世代へのマーケティング
戦略でのポイントとなる。そして所有~体験の時代を経て、現在は瞬
間でしか味わえないライブ感に心を動かす。今以上にデザインアプロ
ーチが求められるだろう。
 ここ数年のアメリカ投資家はモノではなく世界に与える社会貢献に
対して投資をする潮流になっている。こうしたなかデザインによって
浜松の発展に繋がればと考えている。


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