講師:共同通信社ビジュアル報道局 橿渕明彦 氏 演題:コロナに負けない!写真のチカラ 【講演概要】 共同通信社は新聞やテレビ用に取材した記事や写真を流す報道機関で、文字以外の写真や動画 等を制作するセクションがビジュアル報道局だ。全国拠点に総勢108名のカメラマンが配置される 他、フリーカメラマン等の外部スタッフと契約を結んでいる。また自社報道だけでなく、全国の 加盟社(新聞社)のために写真と記事を送る立場であることも特徴的といえる。 東京五輪・パラリンピックではIOCから国内公式通信社として任命され、ロイターなどと同 じ場所から撮影する権利を与えられ、同時に国内の新聞社へくまなく配信する役割を担った。 開会式報道では、新型コロナウイルス拡大を懸念する声が8割を超える状況だったため、花火 が打ちあがる手前で大会抗議活動の様子が映った写真を配信。世論が分かれた中で開かれた記録 を残した。コロナ禍での大会は、撮影場に入場できるカメラマン数が限られ困難を極めたが、加 盟社から事前に具体的な撮影要望をもらい対応した。結果、1400件を超える要望にほぼ全て 応えることができた。 我々通信社はいかに早く報道できるかが勝負。阿部詩女子柔道選手が金メダルを決めた際は、 シャッターを押した瞬間から3分で配信先へ届けることに成功した。男子100m決勝写真では、他 社が横一線にゴールする写真を配信する中、当社は周囲をトリミングした迫力ある写真を2分57秒 という記録的速報をやり遂げた。 印象的な写真を撮影するためのカメラマンたちの技はさまざま。陸上障害競技の際に、カメラマ ンが水濠横で腹ばいになり撮影しているのは、下から撮影することで障害の高さと共に迫力ある写 真が撮影できるため。パラリンピックの車いすレースなどにも活かされている。 40㎞走る自転車ロードレースではオートバイの後ろに乗って撮影。オープンウォータースイミン グではウェットスーツ姿で水中カメラ撮影。セーリングでは波のたちにくい平らなゴムボートを準 備し、気象条件と背景を計算しつくしポジショニングして撮影した。一人が何台ものカメラを操作 することも珍しくない。ワイドとアップ、シャッタースピードの違う写真を瞬間的に切り替える。 写真は歴史を残すことに繋がる。選手の表情や新しい競技のインパクトも重要。そのため水中カ メラなど特殊なカメラも駆使している。静岡県出身の鈴木孝幸パラリンピック水泳選手を水中から 撮影した写真では、彼の鍛えられた体幹が美しく表現されている。 さらに現在では、現場から離れた場所からリモートによる撮影も活躍している。また写真を見た 人に理解を深めてもらうため、体操競技や陸上競技等の瞬間を連続合成した写真を紹介することも ある。体操競技でのフィニッシュ直前の表情やボクシングでパンチを受けた瞬間など、写真だから こそ表現できる記録は迫力がある。 北京での冬季大会もさらに迫力ある写真をお届けできるよう努力するのでご期待を。
2021年11月25日(木)21 世紀倶楽部 月例セミナー
講師:共同通信社ビジュアル報道局 橿渕明彦 氏
演題:コロナに負けない!写真のチカラ
【講演概要】
共同通信社は新聞やテレビ用に取材した記事や写真を流す報道機関で、文字以外の写真や動画
等を制作するセクションがビジュアル報道局だ。全国拠点に総勢108名のカメラマンが配置される
他、フリーカメラマン等の外部スタッフと契約を結んでいる。また自社報道だけでなく、全国の
加盟社(新聞社)のために写真と記事を送る立場であることも特徴的といえる。
東京五輪・パラリンピックではIOCから国内公式通信社として任命され、ロイターなどと同
じ場所から撮影する権利を与えられ、同時に国内の新聞社へくまなく配信する役割を担った。
開会式報道では、新型コロナウイルス拡大を懸念する声が8割を超える状況だったため、花火
が打ちあがる手前で大会抗議活動の様子が映った写真を配信。世論が分かれた中で開かれた記録
を残した。コロナ禍での大会は、撮影場に入場できるカメラマン数が限られ困難を極めたが、加
盟社から事前に具体的な撮影要望をもらい対応した。結果、1400件を超える要望にほぼ全て
応えることができた。
我々通信社はいかに早く報道できるかが勝負。阿部詩女子柔道選手が金メダルを決めた際は、
シャッターを押した瞬間から3分で配信先へ届けることに成功した。男子100m決勝写真では、他
社が横一線にゴールする写真を配信する中、当社は周囲をトリミングした迫力ある写真を2分57秒
という記録的速報をやり遂げた。
印象的な写真を撮影するためのカメラマンたちの技はさまざま。陸上障害競技の際に、カメラマ
ンが水濠横で腹ばいになり撮影しているのは、下から撮影することで障害の高さと共に迫力ある写
真が撮影できるため。パラリンピックの車いすレースなどにも活かされている。
40㎞走る自転車ロードレースではオートバイの後ろに乗って撮影。オープンウォータースイミン
グではウェットスーツ姿で水中カメラ撮影。セーリングでは波のたちにくい平らなゴムボートを準
備し、気象条件と背景を計算しつくしポジショニングして撮影した。一人が何台ものカメラを操作
することも珍しくない。ワイドとアップ、シャッタースピードの違う写真を瞬間的に切り替える。
写真は歴史を残すことに繋がる。選手の表情や新しい競技のインパクトも重要。そのため水中カ
メラなど特殊なカメラも駆使している。静岡県出身の鈴木孝幸パラリンピック水泳選手を水中から
撮影した写真では、彼の鍛えられた体幹が美しく表現されている。
さらに現在では、現場から離れた場所からリモートによる撮影も活躍している。また写真を見た
人に理解を深めてもらうため、体操競技や陸上競技等の瞬間を連続合成した写真を紹介することも
ある。体操競技でのフィニッシュ直前の表情やボクシングでパンチを受けた瞬間など、写真だから
こそ表現できる記録は迫力がある。
北京での冬季大会もさらに迫力ある写真をお届けできるよう努力するのでご期待を。