日時:2019年4月29日 17:35 投稿者:pt21c

講師:国土交通省中部地方整備局
  浜松河川国道事務所事務所長 田中里佳 氏
演題:「川と道がつなぐ三遠南信の可能性」

【講演概要】
川の管理に就き、初めて川の奥深さに触れた。山と海を繋ぐのが川であり、
人と自然を繋ぐのもまた川である。浜松河川国道事務所では
天竜川と菊川を管理している。天竜川は二俣から河口まで、
堤防によって約1km幅に整備されているが、昔は三方原台地と
磐田原台地の間を自由に流れていた暴れ天竜。万が一水が堤防を
超えた場合は、どこを流れてもおかしくない川であることを
忘れてはならない。自然の力は人間の力では防ぎきれない。
自然に対して人間は謙虚でなければいけないと思う。
私たちの生活は自然の一部であることを理解することが、自然災害から
身を守ることに繋がる。そこで、日常から川に親しむことで自然への
関心を高めてもらうため、改めて川の魅力を高めようとしている。
川の歴史を振り返ると、水辺は自然と人の営みがあり恵みを
もたらす場所だった。しかし明治以降、河川整備で高い堤防が造られ、
都市部が開発されたことで人と川が空間的に分断され、
人々が川を忘れてしまう時代になってしまった。
そこで国は、人と川の繋がりを取り戻そうとさまざまな施策に
取り組んできたが、利用者増には繋がっていない。
その反省を踏まえて最近は民間のノウハウを活かした
「ミズベリング」事業を進めている。規制緩和でカフェの設営や
イベントも可能になり、昨年は社会実験の一環として、
天竜川河川敷で自転車レースを開催、手応えを感じることができた。
今後も民間と協力してトライしていきたい。
繋がりを作る意味では川だけでなく三遠南信自動車道にも注目してほしい。
南信州飯田から浜松を結ぶ延長約百キロの道路で、3月2日に
佐久間川合インターから東栄インターまでが開通した。
鳳来峡以北や水窪と佐久間を繋ぐエリアも今年度整備を進めていく予定だ。
将来的にリニア新幹線が開通すれば、東京~飯田~浜松が
トライアングルエリアとして日帰り旅行ができるようになるだろう。
また、自動車道の開通で安全ルートができれば災害時の防災ネットワークが
確保できるだけでなく、救急医療のサービス向上にも繋がる。
さらにさまざまな交通の選択肢が増えることで地域産業の
活性化ができると考えている。
三遠南信地域は伝統的な民俗芸能も多く、文化的・歴史的に
興味深いものをたくさん持っている。これらを新しい今の時代に
即した価値を付加することで、新しく若者たちを呼び寄せることが
できるのではないかと思う。
私共の事務所内には、パナマ運河建設に携わった唯一の日本人、
青山士(磐田市生まれの土木技術者)の言葉が掲げられている。
「萬象ニ天意ヲ覚ル者ハ幸ナリ人類ノ為メ國ノ為メ」。
この言葉のように、私も人々が自然と上手に付き合っていく暮らし方、
新しい時代に合った国づくりを心掛けて仕事をしていきたい。


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