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日時:2017年6月 5日 12:26 投稿者:pt21c

演題:法律実務に見る現代親族間紛争と家庭教育

講師:渥美利之氏 弁護士 浜松市教育委員

【講演概要】

遺産分割で骨肉の争いをする親子や兄弟。離婚訴訟で親権を奪い合い、

その両親の間に挟まれて苦しむ子供たち。そして非行に走ってしまった実子に対して、

どう接していいのか分からず途方に暮れる親の姿...。

私がこれまで弁護士として担当してきた事件や、現在の社会状況等を見ていると、

「日本はこのままで大丈夫か?」と憂慮することが多い。

そこで今回「法律実務に見る現代親族間紛争と家庭教育」というテーマを選んだ。

私は浜松市の教育委員を務めて4年目になる。

以前から「人間の精神はいつ養われるのか」と考え、

教育関係の本を何十冊と買い込んで学んできた。すると多くの教育関係者は

「学校に入学する前の幼少時教育が最も大事だ」と述べている。

しかし現在は、核家族化で祖父祖母と暮らしていないばかりか、

両親も共働きの世帯が多い。残念だが家庭での教育能力が落ちてしまっていると

言わざるを得ない。家庭外の教育は学校の先生が引き継いでいくが、

教育現場では子供と接する時間が足りず「理想の教育ができない」

と悲鳴を上げている。そうした中でも、近頃浜松の小中学校では「志」を

大切にしようという教育を目指し、「立志式」を行うところもある。吉田松陰曰く、

「志とは、世のため人のために堅く心に誓うもの」だという。

大変素晴らしい教育だと思う。

私は、学校の先生方に話をするとき「知識だけを教える教員ではなく、

子供たちの魂を養う教師の自覚を持ってほしい」とお願いしている。

教師とは人づくり。「今、貴方たちが育てている子供たちが

30年後の日本を支えていくのです」とお伝えしている。

私自身、自分を育ててくださった先生で思い浮かぶのは、

勉強だけでなく部活などで精神を鍛えてくれ、人柄や生き様を教えてくれた先生だ。

こうした教えこそが教育であり、日本人を創っているのではないだろうか。

家庭での幼少時と学校での教育こそが人づくりの根幹であり国づくりだと思う。

今後とも、学校教育に理解とご協力をお願いしたい。


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