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日時:2017年4月27日 11:35 投稿者:pt21c

演題:防衛駐在官 勤務雑感

講師:空将補 谷嶋正仁氏  航空自衛隊第1航空団司令兼浜松基地司令

【講演概要】

私は平成20~23年に防衛駐在官としてポーランドに赴任した。

防衛省から外務省に出向した自衛官は外務事務官として、

大使館などの在外公館に勤務する。防衛駐在官の派遣人数は

世界44大使館2代表部へ陸・海・空合わせて64名(平成28年度末時点)。

2013年のアルジェリア人質事件以降、安全保障の重要性から近年増加傾向にある。

主な業務は大使の軍事的補佐や日本の安全保障政策等の発信、防衛交流や協力促進、

日本からの来訪者対応など幅広い。特に任国や任国の関心国の軍事に関する

情報収集では人脈作りが欠かせない。そのため「自宅設宴」と称するホームパーティに

要人を招いたり、各種行事や会食会に参加して日本文化を紹介したりした。

大学教授などの知識人と会うときには、自分の意見を伝えるため事前の勉強を心掛けた。

夫婦同伴の席も多く、社交性豊かな妻の功績は大きく、大変感謝している。

ポーランドの面積は日本の約85%、人口は約30%。親日家が多い理由は、

過去に多くの残留孤児を救った日本への感謝の気持ちや、

敗戦国から見事に経済復興を遂げた尊敬の念はもちろん、

最近では寿司やアニメなどの影響も大きい。また武道も盛んで武士道精神を

共通認識できる精神面での繋がりも見逃せない。

経済はGDPが日本の12%程度、欧州諸国の第6位で、

2009年の経済危機の中欧州唯一のプラス成長国。東日本大震災の折には政府から

約3000万円の義援金や一般市民による募金活動で支援してくれた。

国土が隣国によって分割され消滅した経験を持つポーランドは、

安全保障に関して非常に高い意識を持ち、NATO、EU、そしてアメリカとの

3本柱をいかに太くするかを試みている。そして大国を目指すのではなく、

小国にも耳を傾け代弁できる中二階の立場を目指している。

今後ますますNATOやEUでの地位や発言力が高まると予想される

ポーランドから支持を得ることは、

日本にとってアジア保障の促進を考えてもとても有意義。

これからますます両国の良い関係性を持続・発展していくことを願っている。


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