インフォメーション

日時:2018年8月 3日 14:20 投稿者:pt21c

演題:『賀茂真淵­今、国学とは』

講師:賀茂真淵翁遺徳顕彰会会長 山下 智之氏

【講演概要】

万葉集を愛した国学者賀茂真淵(1697年誕生)は菅原道真と同様、学問の神様であり浜松

にとって偉大な人である。旧浜松市歌をはじめ、浜松一中(現県立浜松北高)、

浜松商業高校など多くの校歌に真淵のことが歌われていることからも、

立派な人物であることが郷土に知れ渡っていたことが分かる。

真淵は国学者荷田春満に師事し、春満の後任に抜擢され江戸に向かった。

春満は享保の改革の八代将軍徳川吉宗の御用学者であり、真淵は吉宗の

次男・田安宗武を教授し、その息子が寛政の改革の松平定信である。

さらに天保の改革の水野忠邦は浜松の縣居神社の前身「縣居霊社」に揮ごうするなど、

江戸の3つの改革はどれも根底に国学の精神が流れている。

戦国時代から幕末にかけては海外の文化が日本に押し寄せた。ペリー来航当時、

高杉晋作14歳、坂本龍馬18歳、吉田松陰24歳、西郷隆盛26歳、勝海舟30歳の若者たちが

日本の事を真剣に思い、個々に考えを出した若き先人たちが国を造りあげてきたことを

覚えていてほしい。そして、日本は外国の文化伝来で発展したことは確かだが、

鉄砲が伝来した際には、それを真似て自ら造り上げる能力を既に持っていた。

さらに古くは、中国の漢字には無い国字も独自に生み出してきた。

現在も日本には、「ミノルタ/実る田んぼ」や

「花王の月マーク/いつでも変化できる月の満ち欠け」など、

国学の精神を象徴している企業も多い。こうした根底に流れる国学こそが、

「ものづくり日本」「ものづくり浜松」となった大きな要因だと思う。

これからますます国際化社会が進む中、私たちは真の日本人でなくてはならない。

それにはまず日本史と国語を学ぼう。英語が話すことができても古文書を

読むことができないのは悲しいことだと思う。「頭を雲の上に出し...」で知られる

童謡「ふじの山」は賀茂真淵が詠んだ「駿河なる富士の高嶺はいかづちの音する

雲の上にこそ見れ」という歌を元に作られている。私たちは知らず知らずに国学を

身に付けていながら知らないことが多い。「明き(明朗)」「浄き(清廉)」

「直き(素直)」という「誠」の心を神髄とする国学をしっかりと学び、

我が浜松も地域性を活かしてがんばる街でありたいものである。

ノーベル物理学賞受賞の天野浩教授、文化勲章を受章した静岡文化芸術大学理事長の

有馬明人教授等、賀茂真淵を祀る縣居神社を参拝した人は、大成すると言われている。

ぜひ多くの方に参拝して頂きたい。


静岡新聞社・静岡放送 21世紀倶楽部
〒430-0927 静岡県浜松市中央区旭町11-1 プレスタワー15F TEL(053)455-2001 FAX(053)455-2021