演題:最近の金融経済情勢~2017年の展望~
講師:小髙 新吾氏 日本銀行静岡支店長
【講演概要】
わが国の金融政策は、デフレ悪循環の抜本的転換を目指し、
「量的・質的金融緩和政策」を導入。
原油価格の下落や消費税率引き上げ後の需要の弱さなどから、
2%の物価安定目標はまだ達成できていないが、同政策導入以降の3年間で、
わが国の経済・物価、金融情勢は大きく改善し、もはやデフレではなくなった。
またマイナス金利の導入は、国債買い入れとの組み合わせによって、
長短金利の大幅な押し下げにつながったが、
これは金融機関収益を圧縮する形で生じたものであったほか、長期金利や超長期金利
の過度な低下は、保険や年金などの運用利回りを低下させるほか、
企業における退職給付債務の増加などにもつながるため、マインド面等を通じて
経済活動に悪影響を及ぼす可能性も生じていた。そこで昨年秋から、新たな金融緩和の
枠組みである「長短金利繰作付き量的・質的金融緩和」を導入した。
日本銀行は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために、
今後とも最大限の努力を続けていく。こうした中、現在の日本経済は所得環境や
輸出環境もそれほど悪くない。財輸出が伸び悩んでいても、
サービス輸出(知的財産権使用料、日本の特許利用料、インバウンドなど)が
増えているのが特長で、まだまだ伸びる余地がある。
今夜就任するトランプ大統領の発言で、今後一喜一憂せざるを得ない状況を
危惧しながらも、現状まずまずと判断している。
県内に視点を移すと、製造業の空洞化、雇用者所得の低迷から個人消費が伸び悩み、
今後、経済が持続的な成長をするためには、
労働生産性(時間当たりどれくらい稼げるか)を上げて経済成長を
実現することが必須となる。とはいえ、業況判断はかなり改善が見られる。
特に食品製造や旅行・ホテルなどが好調。まだ一般的な実感は無いかもしれないが、
設備投資も戻ってきたため、大きなマイナスが無い限り、静岡県は緩やかに回復するとみている。
もともと静岡県はものづくりの素養が高く、
今年は特に「直虎」のブランド力を活かしたマーケティング、販路拡大、
生産性向上が見込まれる。こうした流れと共に、特に必要な投資、研究開発、
人的投資を高めることにも力を入れていくべきだろう。
技術の進歩は、ともすると「ロボットが人の力を奪うのではないか」と
負の面を捉えられがち。しかし長い目で見れば人類経済の繁栄をもたらし、
所得や購買力を増やして新しい財や需要を作り、次なる産業育成にも繋がっていく。
フォトンバレー(光・電子技術関連産業集積)やストーリーある観光ネットワークなど、
県も産業環境整備に力を入れている。日本銀行も微力ながら力を尽くしていくので、
さまざまな分野の方々と一緒にオール静岡で取り組み、
今年も良い年にしていきたいと考えている。
【PR】2015年11月末リニューアルした日本銀行金融研究所貨幣博物館にもご来館を!
入場無料、月曜休館(※祝日開館)JR東京駅日本橋口から徒歩8分日本銀行分館内。
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2017年1月20日(金) 21世紀倶楽部月例セミナー
演題:最近の金融経済情勢~2017年の展望~
講師:小髙 新吾氏 日本銀行静岡支店長
【講演概要】
わが国の金融政策は、デフレ悪循環の抜本的転換を目指し、
「量的・質的金融緩和政策」を導入。
原油価格の下落や消費税率引き上げ後の需要の弱さなどから、
2%の物価安定目標はまだ達成できていないが、同政策導入以降の3年間で、
わが国の経済・物価、金融情勢は大きく改善し、もはやデフレではなくなった。
またマイナス金利の導入は、国債買い入れとの組み合わせによって、
長短金利の大幅な押し下げにつながったが、
これは金融機関収益を圧縮する形で生じたものであったほか、長期金利や超長期金利
の過度な低下は、保険や年金などの運用利回りを低下させるほか、
企業における退職給付債務の増加などにもつながるため、マインド面等を通じて
経済活動に悪影響を及ぼす可能性も生じていた。そこで昨年秋から、新たな金融緩和の
枠組みである「長短金利繰作付き量的・質的金融緩和」を導入した。
日本銀行は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するために、
今後とも最大限の努力を続けていく。こうした中、現在の日本経済は所得環境や
輸出環境もそれほど悪くない。財輸出が伸び悩んでいても、
サービス輸出(知的財産権使用料、日本の特許利用料、インバウンドなど)が
増えているのが特長で、まだまだ伸びる余地がある。
今夜就任するトランプ大統領の発言で、今後一喜一憂せざるを得ない状況を
危惧しながらも、現状まずまずと判断している。
県内に視点を移すと、製造業の空洞化、雇用者所得の低迷から個人消費が伸び悩み、
今後、経済が持続的な成長をするためには、
労働生産性(時間当たりどれくらい稼げるか)を上げて経済成長を
実現することが必須となる。とはいえ、業況判断はかなり改善が見られる。
特に食品製造や旅行・ホテルなどが好調。まだ一般的な実感は無いかもしれないが、
設備投資も戻ってきたため、大きなマイナスが無い限り、静岡県は緩やかに回復するとみている。
もともと静岡県はものづくりの素養が高く、
今年は特に「直虎」のブランド力を活かしたマーケティング、販路拡大、
生産性向上が見込まれる。こうした流れと共に、特に必要な投資、研究開発、
人的投資を高めることにも力を入れていくべきだろう。
技術の進歩は、ともすると「ロボットが人の力を奪うのではないか」と
負の面を捉えられがち。しかし長い目で見れば人類経済の繁栄をもたらし、
所得や購買力を増やして新しい財や需要を作り、次なる産業育成にも繋がっていく。
フォトンバレー(光・電子技術関連産業集積)やストーリーある観光ネットワークなど、
県も産業環境整備に力を入れている。日本銀行も微力ながら力を尽くしていくので、
さまざまな分野の方々と一緒にオール静岡で取り組み、
今年も良い年にしていきたいと考えている。
【PR】2015年11月末リニューアルした日本銀行金融研究所貨幣博物館にもご来館を!
入場無料、月曜休館(※祝日開館)JR東京駅日本橋口から徒歩8分日本銀行分館内。
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