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日時:2018年3月 2日 10:50 投稿者:pt21c

演題:『限界の先で感じたこと』

講師:望月 将悟氏(静岡市消防局消防司令補)

「トランスジャパンアルプスレース」は、日本海(富山湾)から太平洋(駿河湾)まで、

北アルプス~中央アルプス~南アルプスを縦断する415km(フルマラソン10回分)、

累積標高差2万7千m(富士登山7回分)を、自身の足のみで8日間以内に踏破する

過酷な山岳レース。2002年に始まり、以後2年ごとに開催。講師の望月将悟氏は

2010年大会に初出場で優勝し、その後2016年大会

(ゴールタイム:4日間23時間52分)まで4連覇中。

【講演概要】

私が生まれたのは静岡市街から約60km北にある井川の中でも、さらに大井川の源流に

近い集落。小さな頃から目の前の河原や山が遊び場で、親が栽培するシイタケや茶を

積んだ約15㎏の荷を背負い、山の斜面を何度も行き来して運んだ手伝い経験が、

現在の自分の体力の下支えになったのではないかと思う。本業の消防士としては

山岳救助隊員として遭難者や滑落者を救助するのが任務。日本警察消防スポーツ連盟

主催のステアレース(階段駈け上がり)では消防士スタイルでタイムを競い、

福岡タワー、東京タワー、宮崎シーガイア等で優勝。その他2015年の東京マラソン

では40ポンド(18.1㎏)の重りを背負い、3時間06分16秒のギネス世界記録達成

の経験もさせてもらった。トランスジャパンアルプスレースは、賞品や賞金は

一切ない。誰からもサポートを受けず、山小屋にも宿泊できないのがルール。

すべて自己責任で、さまざま変化する山岳地帯の気象条件の中、独りで生き抜く

知識と技術、そして的確な判断ができるかが試される。10分~15分の仮眠を繰り返す

一日の合計睡眠時間は約2時間。寝不足と疲労で幻聴や幻覚が出ることもしばしば。

限界に達した時、「辛いのはみんな一緒」という想いや、応援してくれる人たちの

声が力をくれる。そしてゴールしたときは「ありがとう」の気持ちでいっぱいになる。

レースには勝ち負けより、自然界にどこまで寄り添い、受け入れることができるかを

感じるため挑戦している。自然界には計り知れない試練と優しさがあり、想像できない

感情や感覚を得ることができる。常に自分の限界を超えなければその先の未来は

見えないと思う。そして何より自分は山に登ることが好きなのだ。

今年8月には第9回が開催される。静岡市の大浜海岸にゴールする予定なので、

興味のある方は是非応援願います。 


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