講師:静岡産業大学経営学部
学部長 教授 丹羽 由一 氏
演題:『カイジ』に学ぶ行動経済学 」
【講演概要】
行動経済学は、2017 年にアメリカの経済学者リチャード・セイラーが
ノーベル経済学賞を受賞したことで脚光を浴びた。
経済学が理系の学問と言われ、コンピュータが得意とする
理論的・合理 的 であるのに対し、行動経済学は、
人間の感情に基づく不合理な行動を研究する 学問ともいえる。
今日は『カイジ』 福本伸行による漫画シリーズのストーリー
を追いながら、 行動経済学を紐解いてゆく。
【限定商品のワナ】
「ギャンブル船に乗ることができる席はあと僅か」とカイジを煽る遠藤。
さらに「もう埋まった」の言葉に 、悩んでいたカイジは焦って
「乗せてくれ」と頼む。
/人間は限定という言葉に弱い。例えばちょうど10個の品が
並ぶスペースのショーケースに品物を置く場合、
10個きっちり並べたりそれ以上を山積みしたりするより2、3個並べる。
すると人は「もう残り少ない」と感じて買いたくなる。
【合理性偏重のワナ】
グー・チョキー・パーを各4枚、計 12 枚を持ってスタート
するじゃんけんゲーム、使ったカードは回収されていく。
チョキのカード4枚が残ってしまったカイジは、
グー・チョキ・パーのカードを常に同配分に持つような几帳面な
人を探し出して勝負に挑んだ 。
/ 真面目な人は他の人も自分と同じだと考える心理を突いた 。
他にも
【アンカリングのワナ】【囚人のパラドックスのワナ】【保有効果のワナ】
【デフォルトバイアスのワナ】【松竹梅のワナ】 などを紹介した。
人間は実に弱い。損をしたショックは得をしたときの2.5倍強く
感じると言われる。
そして自分が選んだものを間違えたときの後悔を恐れ、
人は選ぶことを嫌う傾向がある。
一般的に選択肢が多い方 が良いとされるが、実はあまり考えずに
選択できるほうが心地よく思っている 。
『カイジから経済を学べ』では、30もの行動経済学の例が紹介
されているので、興味のある方は是非ご購読を。
2019年6月17日(月)21世紀倶楽部総会記念講演会
講師:浜松市長
鈴木 康友 氏
演題:「浜松市政報告」
【講演概要】
浜松は健康寿命(厚生労働省 調査)が男女とも三期連続
政令 指定 都市で第一位、 幸福度ランキング(日本総研分析)でも
総合ランキング一位を記録した。財政状況 で は 12 年間行財政改革に
取り組み、市債残高を計画的に削減 し、 経営感覚を伴った
戦略的な資産経営にいち早く移行してきた。そのため老朽化インフラ問題が
浮上しながらも、浜松の経営は日本のトップクラス となっている 。
過疎地域や膨大なインフラを抱え、国土縮図型の浜松の経営が成功すれば、
それは日本のモデルになるだろう。 区の再編について先の住民投票の結果は、
地域経営と混同されてしまったことで誤解も多かったと感じている。
自治体戦略 2040 構想研究会でも、柔軟で効率的な運営を検討している。
浜松市の規模なら2区または3区が理想 であり、それにより市民サービスが
低下することは無いと自信を持って いる。
引き続き スケジュール感をもって チャレンジしていく。
【多文化共生社会】
浜松は約25 年多文化共生に取り組み続け、特に子供たちの教育に力を入れ
てきた。今では日本一共生が成功している町と評価され、外国人集住年会議の
取組みを世界に紹介 している 。それを機に欧州中心に文化的多様性を
まちづくりに活かす都市間ネットワークにアジアの都市として初めて加盟した。
国として外国人材受け入れが急速に進む中、浜松では多言語対応の相談窓口を拡充し、
外国人人材を中小企業に活用する人材雇用促進に力を入れている。
【地方創生】
地域活性化とは人口減少に負けない持続可能な都市経営だと考える。
今後も産業の育成が必須 となる 。
そのため「イノベーション・ベンチャー支援」では、自動車産業のキーワード
「 C・A・S・E 」を踏まえ次世代自動車センターを開設 した 。
浜松ベンチャー連合を作りビジネスしやすい環境づくりに取り組んでいる。
さらにサテライトオフィスを整備し市外からも起業家を呼び込み、
産業創出に繋げる取り組みも行っている。
【農林業】
全国第7位の農業生産額を誇る浜松はまだまだ発展できると考え、
農業経営塾で農業を牽引するリーダーを育成 している 。
また林業ではFSC森林認証による天竜材のブランド化を推進 し、
全国で最も公共施設等にFSC認証材を使用している地域となっている。
浜松地域での利用はもちろん、東京オリンピック・パラリンピック関連施設、
名古屋城天守閣にも使用され、また今年度から海外輸出にも取り組んでいる。
【エネルギー政策】
東日本大震災後、電力の持続的かつ安定的確保のため新エネルギー推進事業本部を
設置 した 。太陽光発電では導入件数日本一を維持しているだけでなく、風力、
バイオマス、新技術創出などにも取り組み、低炭素なスマートシティ構築を
目指している 。
【シティプロモーション】
日本航空や世界トップシェフとの連携で浜松パワーフードを紹介したり、
ダンスエンタテインメントとタイアップ したり、さまざまな
プロジェクトを推進 している 。
ラグビーワールドカップに向けヘリコプターチャーターサービスも企画中。
大河ドラマ「いだてん」にはいよいよ浜松出身・田畑政治氏が本格登場 する 。
ますます 「 日本一!元気な町 」 を目指
す。 引き続き 皆様のご理解とご支援をお願いする。