日時:2012年1月30日 16:01 投稿者:pt21c

2012年1月20日(金)
21世紀倶楽部定例セミナー
「今年の県内景気見通し」
講師 秋山修 氏 日本銀行静岡支店長

昨年は、震災、円高、ヨーロッパ危機、タイの洪水等、波乱続きの一年。震災の影響は長期的な課題として今後も続くと予想されるが、今、直面している一番の問題は、ヨーロッパ危機のリスク。リーマンショックの多額な景気対策のツケと、ユーロバブルのしわ寄せが為替にも影響し、国際的金融市場が混乱する可能性もある。景気・物価の先行きや、IMFによる世界経済の見通し数値では、2012年にはまずまずの成長と予想をしているが、あくまでヨーロッパが大きく崩れないことが前提となる。国際利回りを見ると、日本は巨額の財政赤字を抱えているため、アメリカやドイツに比べて格付けは非常に低い。財政赤字を我が国がどう処理するかが、企業経済への大きな鍵となるだろう。
国内を見ると、静岡県の業況や雇用面は、リーマン以降全国を下回っているのが実情。最近は自動車関連の挽回もあり、震災から持ち直しの動きはみえたが、生産は鈍化。個人消費は、全体としてみると前年よりマイナスの状況だ。しかし静岡県は、製造業だけでなく、医療や農林水産関連、観光など、多様な地域資源がある。健康・医療品、高級食材等を海外に出したり、富士山空港と結びつけた滞在型リゾート考えたり、新東名などの新立地や東海地震への対応を考えたり、新エネルギーを見直したり、さまざまな可能性がある。新しい需要をいかに今後掘り出していけるかがひとつのポイントになるのではないか。
以上のような世界情勢、景気の動向を踏まえ、日本銀行では、消費者物価が安定するまで続ける実質ゼロ金利政策や、基金の創設、市場への資金供給を実施している。中長期的な課題になるが、ヨーロッパの動向を見極めながら、地域の活性化に取り組んでいくのが今年の課題である。

 

秋山 修氏

講演の様子

懇親会のスタート


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