日時:2024年12月25日 16:07 投稿者:pt21c

2025年1月の例会は、
日本銀行静岡支店支店長の蒲地久司氏を
講師にお迎えし、
「最近の金融経済の動向」というテーマで、
静岡県経済の現状と動向などについて
語っていただきます。

日時は、1月27日(月)午後6時から
会場は浜松プレスタワー17階静岡新聞ホールです。

2月の例会は、
共同通信社編集委員の太田昌克氏を講師にお迎えし、
「トランプ2.0時代の日本と世界」というテーマで、
第2次トランプ政権が世界や日本の政治、経済に与える影響を中心に
ご講演いただく予定です。

日時は、2月18日(火)午後6時から
会場は浜松プレスタワー17階静岡新聞ホールです。

日時:2024年12月25日 15:40 投稿者:pt21c

テレビでは語り尽くせなかったパリ五輪(柔道)を振り返る
講師 バルセロナ五輪銀メダリスト 
溝口紀子氏
【トークショー概要】
 1971年生まれ。磐田市(旧磐田郡福田町)出身。浜松西高、埼玉大学卒業。埼玉大学大学院(修士)、東京大学大学院(博士)修了。1992年バルセロナ五輪女子柔道52kg級で銀メダル。1996年アトランタ五輪56kg級準々決勝で惜敗、同年現役引退。2004年アテネ五輪フランス柔道代表チームのコーチ。2018年から日本女子体育大学教授、袋井市スポーツ協会会長。
 福田町は柔道が盛んで、10歳の時「やせるよ」と言われて気軽に始めた。1週間目に「投げられてみろ」と言われて、投げられたら鎖骨骨折。根性を試された。そこでやめずに切磋琢磨。骨は1週間で治った。高1の時、史上最年少で世界一に。高2の時は全日本52kg級で十連覇中だった山口香さんを破って優勝。1992年バルセロナ五輪の銀メダルは、有森裕子さんがメダルを取ったのと同じ日だった。実はこの8月1日は1928年アムステルダム五輪800mで人見絹江さんが女性で初めて銀メダルを取った日だと、磯田道史氏に教えられた。女性の活躍の歴史を紡いでいるのかな、と思う。バルセロナの決勝の相手は地元の選手で自信はあったが、カルロス国王夫妻が来て会場がスペイン応援一色になってしまった。悔しい思い出しかない。
 今年のパリ五輪ではルールが変わり、強い選手でも試合に出ないとランキングが下がる。斉藤立選手はケガをして9位まで下がっていた。一方、フランスのリネール選手は減量し、試合に出てランキングを上げていた。試合前のこのような駆け引きが重要。柔道混合団体の代表決定戦の階級は、ルーレットでの抽選でリネールが出る階級となり「ズルーレット」と言われたが、私も全日本の監督も、若い斉藤がこのひのき舞台で勝つと思った。これが勝負だ。
 柔道のルールはどんどん変わり、常にアップデートが必要。「有効」も復活する。しかし、他のスポーツのようなビデオ解析はない。もっと面白く観られるようなルール改編は必要。
 浜松市出身の橋本壮市選手の応援では地元が盛り上がった。今、日本の柔道の登録者数は12万人だがフランスは60万。人口は日本の半分だが。私のメダルから32年。西高にはオリンピアンの碑がある。古橋廣之進さん、私の次が空けてある。そういう夢も持っている。
 オリンピック、4年後は三度目の正直があるのか?毎週試合をやってランキングを上げるというシステムの中で、どう4年に1度の1日にピークを合わせるか。今まで以上に厳しい。塚田真希さんが女性で初めて柔道女子日本代表監督に就任した。情報戦を監督、選手がコントロールし、「お家芸」というプライドを捨て、むしろこちらから柔道途上国にも行くべき。
 スポーツビジネスがパリオリンピックを境に広がっている。フランスではリネールがプロフェッショナル集団と共に、スポーツメディア関係者にビジネスノウハウを伝えている。
 銀メダルのこと。銅メダルは「金に同じ」で、最後まであきらめずに取ったメダルだが、銀メダルは唯一、負けてもらうメダル。「金に良し」と書きたいが何か足りない。磨かないとすぐに黒くなってしまうから、何が足りないかを磨くたびに思い、成長できる。ほんとにメダルって重いと感じる。浜松から静岡から、次に金メダリストが出てほしい。楽しみにしている。

日時:2024年12月 4日 14:03 投稿者:pt21c

「原理原則に立ち返った、常識破りの挑戦〜究極の開発手法〜」
講師 静岡大学客員准教授 辻井栄一郎 氏

【講演概要】
 物造り(開発)の共通した悩み。クレームが出ると再発防止に取り組むが、また同じ問題が起きる。それは基本がわかっていないから。若い頃は失敗をした。大きなピストンを設計するために先輩の書いた図面をコピーして数字を書き換えたら、失敗。理由は、常識と真実は違うから。先輩の図面は「常識」。数字を書き換えただけでは常識をコピーするだけで、「真実」を理解していない。ニュートン力学をベースに物事を考え抜いて作るようになったら失敗しなくなった。
 止まっているものは止まっており、動いているものは動き続ける「慣性の法則」。質量に加速度をかけると力が発生する「運動方程式、F=ma」。アクション・リアクションの「作用反作用」。これがニュートン力学のベース。この3つを考え抜くだけで物事はうまくいく。それを考えたアイザック・ニュートンをリスペクトし、「アイザックコンセプト」を提唱。ニュートン力学を理解し、重さや長さなどの絶対物理量感を持ち、それをもとに考えることが重要だ。
 アイザックコンセプトのツールはエクセルと機械工学便覧。私は基本この2つであらゆるものを設計してきた。CAEやMBDやAIは便利だが使い方を間違えると無駄なことをする。Aに対してA'やA"を造ることは得意だがBは造れない。データに無いものを出せるのは人。
 アイザックコンセプトによる開発を紹介。まず商品開発:エンジン。船外機の排ガス規制をクリアするために2サイクルを4サイクルにすると、コストと大きさが課題だった。運動方程式で考え直し、常識破りのオフセットシリンダーを開発した。次に新技術開発:車体。LMW:Leaning Multi Wheel、タイヤがたくさんあるモーターサイクル。タイヤが多いと安定するが、気持ちよく曲がれない。そこで左右を連結してシーソーのように作用反作用で動き、固定すれば自立できる常識破りのバイクが誕生した。3つ目は研究開発:電子制御。オートバイは運動性と安定性という相反するものの両立が永遠のテーマ。二輪の運動方程式で前輪の接点、後輪の接地点、総重心位置の3つによる「重心三角形」を解明。3頂点をコントロールできる構造AMCES(アムセス)を構築し「常識からの解放」をコンセプトとするバイク「モトロイド」を生み出した。
 ニュートン力学は開発コストを低減し、開発品質を向上。新しいアイテムや機構を開発でき、クレームやリコールを減少。さらに経済、人間関係、芸術などあらゆることに通じる究極の開発手法である。開発心得はまず、物事に100点満点はないということ。世の中は全てトレードオフ。いかに両立できる所を探し出すか。そして、顧客(上司)の想像を超えろ、上司に内緒で仕事をしろ、
ということ。人知れず行うと邪魔されず、納得いくまでできる。途中でダメと分かればやめればいい。案ずるより産むが易し。物理量を体感して失敗を恐れずやること。常に何事に対してもBe Gentleman!! 理にかなったことを客観的に判断することが大事。我々はニュートン力学の呪縛からは絶対に逃れられないのだからそれを真摯に受け止める。
 今の日本にはムーンショット的な壮大なテーマが必要。六脚ロボットやメジャーリーガー養成バット等も現在開発中。こんなものができたら未来が開けると思える夢に取り組んでいる。


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