21世紀倶楽部定例セミナー
「東日本大震災に学ぶ減災社会を築く」
講師 岩田孝仁氏 静岡県危機管理部危機報道監
2011年8月19日(金)
【講演概要】
東海地震説が出て30数年。その間に静岡県内の防災対策は、少しずつ強化されてはいるが、巨大災害に向けてはまだまだ課題がある。東日本大震災を教訓に、私たちはこれから何をすべきなのか。
日本列島のプレートを分析すると、東日本大震災が影響した日本海溝は陸から少し離れているが、東海地震に関連する南海トラフ~駿河トラフは、陸から近いところある。この地域は、1498年の明応地震、1605年の慶長地震、1707年の宝永地震、1850年の安政東海地震、1944-46東南海・南海地震と、100~150年ごとに繰り返して巨大地震が起きているが、いくつかの領域が連動して起こる場合や、堆積層が大きくずれて起こる場合も考えられる。現在、1854年の安政東海地震の記録を元に細かな調査が行われ、当時の地震は、駿河湾の中まで巨大地震の震源域だったことが判明した。そして東海地震はこれまでに起こった巨大地震の割れ残りで発生するのか、次の新たな地震のステップなのかが研究者の間で議論されている。
東海地震は、震源が自分たちの住む直下にあることから、揺れが最も心配される。長い断層が割れ続けてくることを想定すると、長時間の破壊的な揺れが考えられる。その後は津浪の恐れもあり、県では新たなハザードマップを作成するとともに、防潮堤や避難場所を充実させている。しかし東海、東南海、南海の三つが同時に連動して地震が発生した場合は、救助や支援が遅れる可能性が懸念され、2035年には高齢化率が35%になることを考えると、高齢者も自衛意識を高く持つ必要がある。自分で自分を守ることを徹底し、住居の耐震化、家具の固定、水や食料の備蓄、地域の守りのネットワーク作りなど、もう一度身の回りを見直してほしい。県では6年前から、中学生・高校生を積極的に防災訓練に参加させ、地域の防災力アップに取り組んでいる。事業所の方にも積極的に地域の防災活動へ参加してほしい。巨大災害に対する対策は、「自助・共助・公助」三助が大きな力となる。
岩田孝仁氏
講演会の様子
懇親会前の質問タイム
9月例会 ご案内
9月例会 セミナー&懇親会
9月例会の講師は8月にお招きした静岡県の岩田孝仁危機報道監に続き、「はままつ・東北交流館」の館長、佐藤 大氏をお迎えします。
佐藤さんは本年3月11日の東日本大震災当時、福島第一原発協力会社に勤務しておられました。震災の現実、貴重なお話をうかがいます。東日本大震災以後、危機管理やBCP(事業継続計画)に注目が集まっています。東海地震に備えるためにも、会員の皆さまにご出席いただきますようお願いします。
日 時 9月21日 (水) 18:00~ セミナー
19:00~ 懇親会
会 場 21世紀倶楽部 サロン & 会議室
講 師 「はままつ・東北交流館」館長
佐藤 大 (さとう・だい)氏
テ ーマ 「東日本大震災・被災者からの報告」
講師 略歴
昭和53年 生まれ
福島県双葉町出身・東日本大震災により浜松に避難
平成 9年 松韻学院福島高校卒業
JA大熊、石川建設、昭和運輸、東北レミコンを経て
平成19年12月より㈱コムテックエンジニアリング
(福島第一原発協力会社)勤務
東日本大震災により無期休業中
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◇本年6月より浜松市の緊急事業対策雇用において、NPO法人地域づくりサポートネット(会長:静岡新聞・SBS静岡放送取締役社長)が行う「はままつ・東北交流館」の館長として避難者の立場で避難者の交流支援に努める(本年12月までの6ヶ月)。