『最近の金融経済の動向』
講師 日本銀行 静岡支店長 平田泰隆 氏
【講演概要】 IMFによると、世界経済の成長率は、先行きも過去平均並みの3%近傍で推移する見通し。アメリカは個人消費中心に底堅く推移しているが、ヨーロッパはユーロ高もあって輸出が振るわず少し伸び悩んでいる。中国も不動産バブル崩壊後の調整が長引き、内需が不振となっている。 アメリカの追加関税幅は、日本も各国も+10%近傍だが、中国だけは高め。アメリカの輸入は追加関税前の駆け込み増の反動で水準を切り下げているが、韓国・台湾・ASEANからの輸入はAI関連需要増を受けて増加している。アメリカ経済は、関税の価格転嫁が緩やかなもとで個人消費が堅調なほか、AI関連を中心に設備投資も増加傾向。世界経済全体として成長が続く見通し。 国内経済は回復傾向が続いている。輸出は、AI関連でNIEs・ASEAN向けが伸びており、全体として高水準横ばいが続いているが、中国向けは低水準。日中関係の悪化で中国人観光客も減少している。ただ、日本人客を含む県内の宿泊者全体に占める中国人客の割合は約3%と影響は限定的。レアアースの問題も要注意だが、直ちに影響は出ないと思われる。この間、企業収益は高水準で、短観の業況判断も緩やかな改善傾向。設備投資もプラスで推移している。 家計部門はプラス圏内で底堅く推移。お金を使うところには使うメリハリ消費も堅調。雇用所得環境の改善がその背景にある。食料インフレによる物価高も、足もとはピークアウトしている。その中でお茶の価格が上がっており、茶飲料が値上がりする可能性が指摘されている。賃金も上昇しており、実質賃金がいずれプラスに転化していくもとで、消費を支えていくことが期待される。ようやくデフレ脱却が近づいてきて、企業収益の増加→賃金の上昇→個人消費の増加→消費者物価の上昇→再び企業収益の増加という、賃金と物価の循環メカニズムが働き始めているように感じられる。この間、人口減少の中でも、女性、高齢者の労働力率上昇により労働者数は増えているが、人口問題研究所の将来推計をもとに試算すると、あと数年で生産年齢人口では現在の労働者数を維持できなくなる。建設業界などでは、既に人手不足で受注できない事態も起きている。AIの活用などによって、自動化、省力化を進める必要がある。 12月の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%に引き上げることを決定した。1月に公表した展望レポートでは、経済が緩やかな成長を続けるもとで、基調的な物価上昇率は緩やかな上昇が続き、見通し期間の後半には2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移する見通しを掲げた。今回の利上げは金融の引き締めではなく緩和度合いの調整。今後は、経済・物価に対して緩和的でも引き締め的でもない「中立金利」も意識しつつ調整を進めるが、推計が難しいため、毎回の決定会合でデータをみて、中立金利の水準を探りながら金利の調整を進めていく。 静岡県経済は全国同様、緩やかに回復。企業の景況感も改善している。お茶については、世界的な抹茶ブームで、25年中の全国の緑茶輸出額が、11月までで前年比7割増え、輸出価格も3割上昇した。静岡県は、農家の高齢化、後継者不足などで茶葉の生産が減少しているが、官民挙げて静岡茶再生に向けた動きも広がっている。今後の静岡茶の一層の飛躍を期待している。
2026年1月29日(木)21世紀倶楽部月例セミナー
『最近の金融経済の動向』
講師 日本銀行 静岡支店長 平田泰隆 氏
【講演概要】
IMFによると、世界経済の成長率は、先行きも過去平均並みの3%近傍で推移する見通し。アメリカは個人消費中心に底堅く推移しているが、ヨーロッパはユーロ高もあって輸出が振るわず少し伸び悩んでいる。中国も不動産バブル崩壊後の調整が長引き、内需が不振となっている。
アメリカの追加関税幅は、日本も各国も+10%近傍だが、中国だけは高め。アメリカの輸入は追加関税前の駆け込み増の反動で水準を切り下げているが、韓国・台湾・ASEANからの輸入はAI関連需要増を受けて増加している。アメリカ経済は、関税の価格転嫁が緩やかなもとで個人消費が堅調なほか、AI関連を中心に設備投資も増加傾向。世界経済全体として成長が続く見通し。
国内経済は回復傾向が続いている。輸出は、AI関連でNIEs・ASEAN向けが伸びており、全体として高水準横ばいが続いているが、中国向けは低水準。日中関係の悪化で中国人観光客も減少している。ただ、日本人客を含む県内の宿泊者全体に占める中国人客の割合は約3%と影響は限定的。レアアースの問題も要注意だが、直ちに影響は出ないと思われる。この間、企業収益は高水準で、短観の業況判断も緩やかな改善傾向。設備投資もプラスで推移している。
家計部門はプラス圏内で底堅く推移。お金を使うところには使うメリハリ消費も堅調。雇用所得環境の改善がその背景にある。食料インフレによる物価高も、足もとはピークアウトしている。その中でお茶の価格が上がっており、茶飲料が値上がりする可能性が指摘されている。賃金も上昇しており、実質賃金がいずれプラスに転化していくもとで、消費を支えていくことが期待される。ようやくデフレ脱却が近づいてきて、企業収益の増加→賃金の上昇→個人消費の増加→消費者物価の上昇→再び企業収益の増加という、賃金と物価の循環メカニズムが働き始めているように感じられる。この間、人口減少の中でも、女性、高齢者の労働力率上昇により労働者数は増えているが、人口問題研究所の将来推計をもとに試算すると、あと数年で生産年齢人口では現在の労働者数を維持できなくなる。建設業界などでは、既に人手不足で受注できない事態も起きている。AIの活用などによって、自動化、省力化を進める必要がある。
12月の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%に引き上げることを決定した。1月に公表した展望レポートでは、経済が緩やかな成長を続けるもとで、基調的な物価上昇率は緩やかな上昇が続き、見通し期間の後半には2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移する見通しを掲げた。今回の利上げは金融の引き締めではなく緩和度合いの調整。今後は、経済・物価に対して緩和的でも引き締め的でもない「中立金利」も意識しつつ調整を進めるが、推計が難しいため、毎回の決定会合でデータをみて、中立金利の水準を探りながら金利の調整を進めていく。
静岡県経済は全国同様、緩やかに回復。企業の景況感も改善している。お茶については、世界的な抹茶ブームで、25年中の全国の緑茶輸出額が、11月までで前年比7割増え、輸出価格も3割上昇した。静岡県は、農家の高齢化、後継者不足などで茶葉の生産が減少しているが、官民挙げて静岡茶再生に向けた動きも広がっている。今後の静岡茶の一層の飛躍を期待している。