日時:2022年7月13日 16:48 投稿者:pt21c

講師:浜松市長 鈴木康友氏
演題:浜松市政報告~サステナブルな自治体経営~
【講演概要】
浜松市は平成の大合併で都市部から中山間地域まであらゆる地域特
性や課題を凝縮した「国土縮図型政令指定都市」になった。「財政危
機」と「人口減少」のふたつのリスクを抱えるいま、浜松市を維持し
ていくにはいかにサステナブル(持続可能)な自治体経営をするかが鍵。
私は15年前、市長になる際「上杉鷹山公の治世を目指す」と表明し
「財政健全化」と「産業政策」に力を注いできた。今では財政状況の
健全性、経営力は政令指定都市の中でトップ水準を誇っている。これ
までの経験から自治体の自立した経営のモデルになると確信を持つこ
とができた。
浜松市の先進的事例ではエネルギー分野において2015年にいち早く
産学官によるスマートシティ推進協議会を設立。市町村別太陽光発電
は全国一位となり、今後も再生可能エネルギーの導入促進などにより
二酸化炭素排出実質ゼロを目指していく。健康・医療・福祉分野では
「予防・健幸都市」の実現を目指し、官民で連携したウエルネス・プ
ロジェクトを推進している。さらに地域交通もデジタル技術や自家用
車を活用した新たな共助型の交通システムの確立に向け、モデル地区
で実証実験を進めている。
自治体のこれまでの常識を超える取り組みも注目されている。ファン
ドサポート事業は浜松市が認定したベンチャーキャピタル等と強調し
資金を交付することでスタートアップの事業化を支援する取り組みで、
これまでに17社が浜松に進出してくれた。新型コロナウイルス感染症
による緊急事態宣言時等に経済対策として実施した「大型ポイントバ
ックキャンペーン」等も大成功した。さらに、浜松市オリジナルのフ
ードデリバリープラットフォームを構築するなど経営感覚を発揮して
きた。
デジタル田園都市国家構想基本方針が閣議決定され、今後ますます世
の中は大きく変化していく。浜松は2019年にデジタルファースト宣言
をして推進体制も整い、さらにデジタルを活用しサステナブルな都市
経営を目指していく。
最後に「明治以来の統治機構改革」の考えを紹介する。私は日本をも
う一度成長させるには、「基礎自治体が自立し、地域に合わせた成長
戦略で日本全体が底上げされること」が大事だと考えている。明治時
代から続く中央集権体制を変え、国・道県・基礎自治体が対等な立場
で明確な役割分担をして地域主権を確立することが重要だ。1947年に
人口50万人以上の都市を府県から独立させ特別市とする「特別市制度」
が規定されていたが、実現されず地方自治法から削除され現在に至って
いる。統治機構改革は考え方の温度差もあり一筋縄ではいかないが、特
別自治市制度の法制化を目指す同志たちと共に、伝え続け、取り組み続
けていきたい。


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